ボールを投げる時の肩の痛みの原因と『体の開き』について<野球編>

こんにちは~。
中学で野球をやっているのですが、ボールを投げると肩が痛くなるので治したいと思いまして~。

こんにちは。
ボールを投げると痛みが出るのですね。

今回ご相談の野球少年は内野手でゴロを捌き一塁へ送球時に肩が痛くなるためご相談に来られました。

よくある野球での肩の痛み。

今回はこれに焦点を当てていこうと思います。

痛みの出る時は?

投げる時のどのポイントで痛くなるのか教えてください!

え~っと、ボールを取ってから頭の後ろに持っていってそこから投げる時に痛みが出る気がします…。

詳しく投げる時のフォームを再現してもらったら、早期コッキング期~後期コッキング期ということが

分かりました。

                          ※画像 佐久平整形外科クリニックより引用

このコッキング時は肩の外旋水平外転が最大となり投球障害肩がとても発生しやすくなります。

僕の肩の痛みはそれが原因だったんですね…。

実は今回色々と検査したら、今回の症状はまだ投球障害肩までには至らず、他の所に原因がありました。
肩の痛みはそこからのストレスがかかっている状態だと考えられます。

※投球障害肩についてはまた別の機会に書きたいと思います。

えっ…!!では何が原因なんですか??

『体の開き』が原因です。

一般的に『野球』では体が開くことは良くないとされております。

監督やコーチにボールを投げる時も打つ時も体の開きを指摘されることが多くあります。

では、①なぜ彼は体が開いてしまうのか?

体が開くことで②なぜ肩に痛みが出てしまったのか??

この①と②の2点について確認していきましょう♪

①なぜ彼は体が開いてしまうのか?Part1

体を一通り検査して一番気になったところはまず『足』でした。

両足とも内側のアーチが消失し、つま先の方に重心が移行し安定して立てていない状態でした。

アーチが消失している状態を扁平足、つま先側に重心が移行し足幅が広がっている状態を開帳足と呼びます。

扁平足ですと、投げる時すぐに体が左足側に移動してしまうため俗にいう前に突っ込んで

投げてしまうような形になります。

前に突っ込んでしまうとどうしても早い段階で投げる動作に移行(体が正面に向く)してしまいます。

このように早い段階で正面に向くことを『体の開き』が早いと言います。
そしてこの扁平足が『体が開く』第1の原因です。

①なぜ彼は体が開いてしまうのか?Part2

体の検査を行っていて次に引っかかったところは、両股関節が内側に動かない(硬い)ことです。

専門的に言うと股関節の内旋への可動制限がある状態です。

これは野球選手にとって致命的なことで、打つ時も投げる時も右投げ右打ちの場合は、

右股関節に一度重心を移動させます。

その際に股関節の内旋制限があるとしっかりと体重移動が出来なくなるだけではなく、

すぐに体の回転運動が始まってしまいます。

この股関節の硬さ(内旋への可動制限がある)ことが『体が開く』第2の原因です!!

②なぜ肩に痛みが出てしまったのか??

野球の主な動きは、足(足底部)から足関節、膝、股関節、骨盤、体幹部と下肢から上半身に向かって

連動性の運動が行われていきます。

この下肢から上半身へ向かう動きのことを『上行性運動連鎖』と言います。

この投げると言う連動性の動きの中でどこかしらの

・関節の可動域が減少している

・筋肉が硬い

などがあると足からの反力を最大限に上半身に伝えることが出来ず、

体にとって無理なフォームとなり、膝や腰、肩関節などに負担のかかる様になります。

今回はうまく運動連鎖が行われず、その代償が肩の痛みとして出てしまったと考えられます。

野球など投げる動作を行う方にとって如何にこの連動性の動きを妨げず行えるか

とても大切になります。

そしたらこれからは肩に負担のかからないように扁平足のケアと股関節のストレッチをしていけば良いですか?!

そうですね。
まずは体のバランスを整える上でしっかりと体の骨格矯正を行っていきます。
そして、扁平足インソールを成型し、股関節はご自身でもストレッチをして、しっかりと全体的なバランスを取れるようにしていくことが大切です。
そして、バランスが取れるようになってきたら、どのように体を動かしていけば良いのかまでしっかりと指導していきます!!

痛みのない体を作るために必要なこと!!

今回の症例では扁平足と股関節の内旋可動域減少により、

並進運動(回転せずに物体の位置だけが移動する運動)を維持できず、

すぐに回転運動(物体の位置が変わらず、回転する運動)に移行してしまったことにより

無理やりボールを投げようとしたことで、肩にストレスがかかり痛みを誘発しておりました。

                                  ※NOBILより画像を引用

この状態ですと基本的に投げても強く投げれません。

また、ボールを打っても遠くには飛びません。

投げれない、飛ばないことにより自然とで投げたり打ったりとしてしまうため、

その結果ホームが崩れパフォーマンスが上がらないだけでなく、

今回の様にどこかしらに痛みが出現するケースが多いです。

特に野球の場合ですと肩や肘の障害が出ることが多いです。

現在は良くも悪くもyoutubeなど情報が沢山ある為、
その年代において積み上げていかなくてはいけない形をすっ飛ばして、
目先の技術ばかりにとらわれることが多くなってきております。
その結果変な癖が付いてしまいケガに繋がっていってしまっているケースが多いのが現状です。

今回のような肩の痛みや肘の痛みなどが出た際には、患部ももちろんですが、

違う所に原因がある場合もあります。

取り返しかつかなくなる前に今一度成長期の体を見直す機会を作ってあげてください。

お子さんは試合に出れなくなるのが嫌で監督やコーチに痛みをあるのを隠して試合に臨んでいる方が多くいます。
お父さんお母さんがお子さんとしっかりとコミュニケーションを取りお体の状態をよく確認してあげて下さいね。

この記事を書いたスタッフ

ボールを投げる時の肩の痛みの原因と『体の開き』について<野球編>

院長:西念 純一

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